《ブログ小説》愛と絆のfive star story 2(残酷な通達)
実際の待ち時間より数倍長く感じた瞬間だった。ようやく社長が電話口に向かって話しはじめる。
このタイトルは連載ものとして書き進めています。前回の流れに興味を感じた方はリンクを貼り付けときます。宜しければ、其方にも足をはこんでみて下さい。
「渥美だ、今日連絡した理由は社内的に基準事項の見直しを図りたいと考えているんだが、具体的案件はメール入れとく目を通しといてくれ」
「分かりました」
何をする気なんだ。
・・・。
少し考えにふけっていると、なんとなく視線を感じ手元に意識を戻すと、先程の微笑を浮かべてた彼女が興味ある眼差しでこちらを見ている。
少しだけ首を傾げて彼女に合わせていた視線をパソコンに向けて声を掛けた。
「メール入れとくって。」
本来なら彼個人に当てられたメールであるので、他のメンバーが読めるようにはなって無いのがルールとして定められている。
だが、ここの部署内では別の規定が存在する。
これも、活力無き男
彼の考えが浸透してしまっているのが理由なのだろう。
早速その彼女がパソコンに向かい社長からのメールを確認し始めている。
彼女は愛嬌があり、積極的に行動を取れるタイプなのだが少しだけ残念な部分がある。
それは、男性陣に対して距離感の取り方が不器用なのである。
だいたいの男性は彼女のことを可愛いと認めると思う。ルックスも中々の持ち主だ、顔とのバランスも良く可愛い感じの身なりでフリルが付いたブラウスを好んで着回してるイメージが定着してる。
彼女に寄り付く男性は少なくない。時折重度の恋心に溺れてしまう男性がチラホラ見受けられる。男性受けする彼女であるのだろう、そんな状況にもかかわらず、どんどん相手の懐に入って行くのである。
そして、その男性は恋心に支配されて心を苦しめて行くのである。
そんな彼女が、ディスプレイ越しから一瞬此方に視線を向け・・・またディスプレイに注目している。みるみる内に目を見開き、まん丸になって行く。
彼女はそこから目を離さずに声を掛けて来た。
「中々の内容ですよ。これって本気なんですかね?」
「・・・」
本社の社長自ら連絡して来てたので、物騒な印象は受けていたので、正直やっぱりかと、当たって欲しくない方の予感に、気持ちが沈む。
「そうか・・」
パソコンの前にむかった。
覗き込んで確認する。
今期の売り上げ予算 ◯◯◯、◯◯◯
仕入れ予算 ◯◯◯、◯◯◯
経費予算 ◯◯◯、◯◯◯
達成率 78.65パーセント
売り上げ額を 12.5パーセント 上乗せ
上記内容を達成せよ。
未達成時には、来期の人員体制を削減する
事務員人数 2人→1人
現場人員 正社員2人→正社員1人
パート1人
以上、渥美
等々、管理側も本気で動き出して来たか!?
覚悟もしてはいた、近い将来必ず仕掛けて来るはずと読んでいた。
「・・・とうとう来たか・・」
ボソッと呟いていた・・。
決算が終わり、新年度が始まり丁度2ヶ月目が終わろうとする時期である。
タイムリミットは、ほぼ10ヶ月。
活力無き男と、頼もしいメンバーの行方。