信剣士の細やかな時間のホット一息

チャレンジャーとしての世界で生きたいと思います。会社にエネルギーを注いで来ましたが自分の存在が如何に薄いのか思い知らされ、これからは自分の希望のためにエネルギーを使って見ます。私は何処まで歩いて行けるのか知りたいです。ぶらっと、いろんなテーマに触れて行こう。

《ブログ小説》ブラックで踊る今日とfive star story 26(劉基と高仲と新たな出会い)

劉基は高仲の車へ乗り込んだ、彼が乗り込んだのは後部座席だった。高仲は運転席で助手席には1人の女の子が座る。

「お願いしま〜す。場所は私がナビるね。」

そして、もう1人は劉基の隣となった。

「お邪魔します。よろしくね!」

「高仲さん、頼んます。一緒に楽しもうジャン!」

「・・向かう、とりあえずナビ頼む」

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高仲は多少複雑な心境で有るのは確かである。

先程の水菜が飛び込んだ相手が頭に焼き付いている。思い出すとやはり苦しさが胸を締める。恋人の目撃、シルエットは確認出来ていたのだがそれ以上は確認する事は出来なかったのだ、今となっては恋人の存在に気付いた事だけで充分に失恋気分である。

「そこ、右折してね!」

彼女の声で現実に戻って来た。

意識を後部座席に向けると、もう1人の彼女と劉基が何やら盛り上がっている様だった。

「劉、最近全然お店にも顔出してくれないし、いつになったらライブ招待してくれるのよ。」

「まぁまぁ、そんなに目くじら立てないでさぁ、ちょっと最近立て込んでて中々身動き取れなかったんだよ、悪い悪い!」

劉基は夜の街では、注目される位の顔である。ライブ活動が、ファンを量産している様だ。

「冗談抜きで、近い内に会場とって行くからそしたら連絡するからさぁ、許してくれ」

「約束だかんね!楽しみにしてるんだから必ず連絡してよ、絶対にね!」

彼女は劉基に凄い勢いで詰め寄っている。劉基自身も早くライブをしたいと思っていた。窪塚に待たれているのも気になっている。

高仲は後部座席のやり取りに注意を払っていたのだが、シフトノブにあてがっていた左手に柔らかな感触がフワッと重なって来た。

「えっ・・?」

(ドキンドキンドキン・・)

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恐る恐る高仲は助手席の彼女の方に視線を向ける。彼女は高仲と視線が合うのを、待ってから微笑みかけて来た。

「高仲さんの手って大っきくて、ゴツゴツした感じが男らしく見えて、思わず触って見ちゃった!」

彼女は高仲の手の甲の上で指先を、スーッとなぞる様に走らせている。彼女は高仲の顔を覗き込むようにイタズラっ子の様な、あどけない笑顔を見せている。

「・・・・・・」

(ドク・ドク・ドク・ドク・・・)

高仲は、彼女の視線から耐えられずにそのまま視線を下へ晒した・・今度は白く細い膝元が目に映し出された。彼女のスカートは比較的短めだったのだ!

(なんなんだ・・)

(ドキドキドキドキ)

視線のやり場に困り前方へと視線を戻す。

(確かに・・可愛い・何故・・?)

「高仲さんは、誰か好きな人って居るの?」

彼女は、相変わらず高仲から視線を外していない。そして優しげな柔らかい表情である。

時折彼女は肩まで伸ばされた髪の毛を掻き上げたりするのだが、その度に髪の甘く爽やかな香りが、鼻元を通り過ぎる。

「・・難しい質問だな・・」

「答えに困る」

彼女は、その返事に動揺する気配すら感じていない様だった。

「私はね、彼氏募集中!なんだ!!」

「結構、毎日1人で冷たい部屋に変えるのって寂しもんだよ。」

ようやく、高仲の手から彼女の手が離れ両腕を頭の上で伸ばしている。高仲はチラチラと彼女を見ている。

(何を言いたいのだろう?)

「・・・」

 

「到着しました〜ここが目的の場所で〜す。」

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