《ブログ小説》ブラックで踊る今日とfive star story 27(憩いのひと時)
悠史と水菜が、遊歩道から出て来て自分の車の方へ向かう。拓也は美咲の車から降りて劉基の車に乗り込み水菜の車の側まで走らせた。美咲もそのまま美咲の車へ近づける。
悠史と水菜が自家用車に近づく頃には2台の車も到着していた。
「ミズ、おつかれ!」
美咲は少し嬉しそうな顔で、水菜を労った。
「どうだった?」
「うん、とりあえずは返ってくれたみたい・・」
「めっちゃ怖かったけど、なんか無事に何もされずに済んだよ。一人で歩いてると後ろから気配はするし本当にどうしようって・・」
「そうなんだ、がんばったんだね。まっ、いざとなったら皆んな居たし絶対に助けに向かってたよ。」
「劉君と彼は、一足先にここを離れたよ。劉君が彼を連れ出してくれたみたいだね!」
「・・そう見たい。」
美咲は、水菜の顔を無事な状態で見つめられて良かったと感じてる。さすがに不安が無かったとは全く感じては居なかった。例え悠史が側にいるとは言え、絶対の安全を確信出来るほどでも無かったのだ。
「で、ウチのボスはどうだったの?」
美咲は悠史に視線を移したが、彼は拓也の方の車の助手席の窓にもたれるように彼と話している。
「結局の所、エロジィだったよ!!」
「咲ちゃん、これ見てよ!」
水菜は美咲に彼とのラインの会話を見せて来た。美咲は悠史のメッセージを順を追って見ている。美咲は悠史に視線を戻してキツ目の目元で、悠史に聞こえるようにメッセージを読み上げる。
「別に俺の唇奪っても構わん!・・好きにしろ!!」
「エロジィ!!やっぱ変態!」
悠史は美咲の声に気が付き、振り返って美咲に嬉しそうな笑みを浮かべている。すかさず水菜が追加するように話し出した。
「挙句の果てに、私に抱きつかせてなんて言ったと思う!?」
美咲は再び水菜に視線を向けた。
「・・・・」
どちらかと言うと水菜のコメントを待っているようだ。
「お山、2つご馳走さん!だって!!」
「こっちは真剣に怖かったのにだよ!!」
水菜と美咲は楽しそうである。いつもの様に悠史をイジリ倒し始めた。
「本当に!」
「エロジィ!!」
「エロジィ!!」
悠史は拓也の乗る助手席のドアを開けて乗り込んだ。
「じゃあな!帰るわ、お前らも明日遅刻するなよ!」
悠史達の車がバックを始めた。美咲は水菜を見つめて優しく声を掛けた。
「ミズ、良かったね!」
「・・うん。助けられた・・ドキドキした・・」
美咲はニッコリ笑ってる。
「ウチらのボスだね。」
美咲は水菜の感想に満足げである。水菜も安心してる様だった。美咲が声を掛けた。
「どうする?家来る?」
美咲は水菜への配慮で一緒に居てあげようかと感じたのだ。水菜はこれ以上は申し訳無く思ってる。
「ありがとう、もう大丈夫だよ。咲ちゃんもありがとうね。嬉しかったよ。」
「うん大丈夫、私も帰るよ。」
「そっか、じゃあ私も帰るね今度はゆっくり出来る時に遊びにおいで。」
「咲ちゃん、本当にありがとう改めて遊びに行くから、その時はお邪魔させてもらう。よろしくね。」
水菜が手を振って美咲の車から離れて行く。そして美咲も手を上げた。
「じゃあね!また明日!!」
「じゃあ、バイバイ。」
2台の車が、駐車場から動き出した。
長く感じた一日だった。