《ブログ小説》愛と絆のfive star story 1(分からない明日)
鈍い銀色が真っ直ぐに続いてる、ハンドルを握る指先が小刻みに伝わってくる振動、ほぼ毎日の風景がいつもと変わりなく流れていく。
見慣れた風景は彼の通勤経路だからなのだ。
朝だと言うのに、活力が感じられないくらいに、エネルギー不足の男である。
オーラなんて言葉が似合わない代表的存在であり、特に朝方の彼は天下一品と言っておこう。
彼が職場に着く頃には、他のメンバーが既に事務所を解放している。
彼らの職場は少人数で運転できる、ひっそりとした小さな事業所は少し錆びれた場所にあり、少しでも、強風が吹き込もうなら経営諸共に吹き飛ばされてしまいそうである。
そして、活力無き男はこれでも、そこの長であるが周りのメンバーから見ると、人生に疲労した、オッさんでもある。
ここは少し居心地いい営業部と言ったところで、比較的メンバーは伸び伸びしている。
そして今日も、いつものように業務が始まっていくのだ。活力無き男は朝のいっぷくを始める。
いっぷくは事務所をでて廊下の片隅に膝丈くらいの灰皿が置いてあり、外へ面した窓を少し開ける。たった5分程度のいっぷくタイムですらしんどいと感じるのか、近くの台車を引っ張りだしては腰を下ろす。
微かに、事務所で数人のメンバーの話し声や笑い声が聞こえる。
これも、いつもの習慣のように経験する日常の、1ページでもある。
ここでのメンバーは、活力無き男と残りは4人の構成で、全5人体制である。
会社組織の中の一事業者である5人組は他の部署のメンツに比べて個性的な空気を放つ、ちょっと特殊な人員となっている。
そしてその人員をチョイスして行ったのは、他でもない活力無き男の選択なのだ!
実は、この活力無き男。
物凄い鋭い眼力と嗅覚を持っているのです。
他にも只ならぬ何かが有りそうではあるのだが、一見どう見ても活力無き男ではある。
彼が、いっぷくタイムを終えて事務所に戻る頃には、既に2人が外出していた。
残された2人はこの営業部のマドンナ的存在の女性達であり、先に外出してしまっていた2人と活力無き男が、男性陣と言うことになる。
いつものように始まった今日。
昨日と同じように進み、夕方には帰宅。
それは、誰もが疑いも無く変わらない毎日の1ページに、なって行くはず。
そうなって行く予定・・
事務所に残された1人が活力無き男に声をかけられるのです。
「早速ですが、本社から連絡が有りました。」
「朝から社長自らの連絡ですよ。」
その女性は、薄っすらと笑みを浮かべて、活力無き男を見つめている。
そして、本人の活力無き男は、眉間にシワを寄せて苦い表情で、しぶしぶ連絡をはじめる。
やはり管理部門のトップは単純に面倒くさい。
出来れば避けて通りたいと、いつも願ってる。
「おはようございます、営業部の窪塚です。」
「社長は、おられますか?」
電話に出た、事務員が社長を呼びだす。
「・・・」
早く終わらないかと願う、
憂鬱な気持ちが時間の経過とともに膨らむようで、内心、残酷な待ち時間だと不快な瞬間であつた。