物語
美咲と水菜の座る背後の方でカップルらしき相手の女性がとうとう痺れを切らして、怒りをぶちまけたようだ。水菜が恐る恐る姿勢をずらして、様子を伺ってる。確かに彼の行動は褒められる態度では無い、相手女性の気分を不快にさせてしまうのも簡単に推測出来…
「どうぞ、こちらのテーブルへ」 店員さんが案内してくれたテーブルへ3人は席に着く美咲と水菜が横並びに座り、拓也はテーブルを挟んだ向かい側に座った。水菜が美咲に対して早速気になっている質問を始めた。 「彼って何者なの?」 「うん、元彼・・」 「…
「重てーんだよ!もう、ウゼーから消えろよ!!」 はっ!として、我に帰った美咲が居た。美咲は拓也の運転する様子を眺めていたら苦い過去に呼び戻されていた様だ。胸が締め付けられる。耳鳴りの様にこのフレーズがフィードバックする。刃物が胸を串刺してる…
拓也はちらっと時計目を向けた、丁度昼時に差し掛かろうとしていた。タイミングが良いのか悪いのかよく分からないと感じながら悠史に目を向け声をかけた。 「窪さん、ひょんな事からこの子達とお昼する事になっちゃって事務所開けますが、いいです?」 拓也…
拓也は気を取直して、この先の可能性をイメージしてみた。やっぱり個人の魅力を活かせるジャンルが取っ掛かりとしては最適だろうと感じた。一つ言える事は現状に対して一歩進ませたいと願うのも事実だ。拓也は2人に自分のイメージを伝える事にした。 「俺が…
拓也は、美咲の席の側まで歩み寄り先程出力されたコピー用紙を美咲の机の上へそっと置いた。そして美咲はそのコピー用紙に目を向け内容を確認し始めた、拓也は水菜に視線を向けて彼女にも此方へ来いと言わんばかりに手招きした。水菜が席を立ち此方に向かっ…
悠史は自分の机に戻っていた。色々物思いにふけっている、社会的組織に属している現在では会社の持つ信頼が有るからこその現状である。組織からの離脱で、まずはクリアさせなければ行けない課題は信用である。ビジネス展開と5人の収入の確約が必要だと。新…
この度は、この作品のご愛読ありがとうございます。この記事は自分の考えていた状況よりも長いシリーズとなってしまったために、読み始めるには抵抗を感じてしまう読者さんが居るのでは無いかと思い、もっと私なりに読み易くなる手法は無いかとリードポイン…
拓也は、悠史の側まで歩み寄って来た。それに気が付いた悠史は拓也が近寄って来る理由に大体の想像がついた。 「窪さん、早速なんですが例のシステム展開ってどんな感じで進めましょう。」 「おう、お前も中々ズバズバ来るよな。」 「じゃあ、お前ノートにベ…
事務所の入り口の扉がゆっくり開いた。 まだ、眠りが足りないと言った雰囲気の劉基が、ノソノソ入って来た。 「うぃ〜っす。」 「おはよう。」 最初に応えたのは美咲だった。 「おはよう・・昨日はありがとう。」 劉基は、あっそうだったと思い出した。昨日…
劉基が女の子達の少し前を先導して歩いている。女の子達は暗がりの公園を楽しんでいるようにキャッキャ言って後をついて来た。 そうすると少し前方に人影が浮かび上がりこちらへ歩いてきてる。劉基はその人影に気付き女の子達に声を掛けた。 「どうやら俺達…
悠史のラインに劉基からのコメントが入って来た。 (公園、入り口、奥進む) 悠史はそれを確認する。 (了解、そっちは頼む) そろそろか・・、と悠史は動き出した。水菜のスマホにメッセージを入れた。 水菜は、自分の近辺で騒つく気配に血の気も引いていた…
悠史は考えていた。 昼間の事務所窓際の男性の影、美咲の発言、そして水菜と高仲の遭遇。 偶然にしては、あり得ない程の流れ。 高仲の心情は 、かなりの確率でピークに達してるのでは無いかと言う事。 彼はまさかと思いつつも辺りを見回してみた。 (・・・…
悠史達、御一行は目的地である 「attendwish(アテンドウィッシュ)」 に到着した。 二手に分かれた5人が再び合流して店内に入る。 そして不自然な人物の人影があるのだが、5人はその存在に誰も気付いて居ない。 悠史は入り口辺りに居た店員に声を掛けた。…
水菜は美咲の車に乗り込んだ。 「咲ちゃん、お願いします。」 「どぞとぞ。」 美咲は、軽く水菜に反応して車のキーを回した。乗り込んだ美咲の自家用車の車内は比較的シンプルだった。ROOMミラーから可愛らしいアクセサリーが、ぶら下がっていて助手席のエア…
(どれくらいの時間を運転していたのだろう) 高仲は、気がつくと未だ車の中で運転を続けていたのだ。衝動に駆られ水菜に取ってしまった行動が、高仲の想像をひっくり返し返してしまった現実に動揺して飛び出してしまった駐車場。 その後、沢山の感情を味わ…
たった数分の出来事だった。 水菜は疲れていた、何気ない所から始まった仲間たちとの会話。 そして彼、高仲の件 まさか、そんなタイミングで彼が登場して来るなんて奇遇すぎる。 必要以上に気を張ってしまったのか、意外にも疲労感が漂っている。 あの時、彼…
どれくらい時間が過ぎたのか・・ ようやく平常心を取り戻しつつある水菜はゆっくりと歩き出す、心臓は未だに脈打ってる。 ガチガチに強張った全身がギクシャクしている。 高仲は感情の高まりを持て余していた、握るハンドルに力が入る。 車を走らせる運転が…
水菜はいつもの定位置に車を止めて、後続車に注意をむける。 (えっ!?) (・・・・・) (どうしよう・・動けない。) 彼だったのだ、つい先ほどまで話題になっていた高仲だったのだ。水菜はタイミングの悪さに自分の運のなさを痛感させられた。 全身に緊…
胸元が苦しくなる 心音が高鳴るドキドキドキ 前方に恋い焦がれた彼女 何故か同じ空間を共有している気分になる。 まるで助手席にでも存在しているようだ、ハンドルを握る左手をそっと伸ばすと、手を握れるのでは無いかと錯覚してしまう。 凄く長い時間をも共…
ちょうど、15時を過ぎた頃に水菜が席を立って悠史の側まで来た。 「窪さん、ちょっと気晴らしに飲み物買ってこようと思うんだけど、いいかな?」 外の空気に触れる、ちょうど気分転換には都合が良いだろうと悠史も感じた。 壁際に社用車の鍵が横並びに3台…
悠史にとって美咲の言葉は興味深い一言だった、きっと水菜の反応から推測しても、水菜本人も聞きたい内容だと思う。 美咲は、自分の感じてる心境を話し始めた。 「ミズ、貴女の事を気に掛けてる人が居るんだよ。多分だけどね!」 やんわりと伝えている。 水…
悠史は、先程のタバコの人物について考える事にした。 若干普通では無い空気を感じているからである。 自分達の職場では男性の取引先が多いので、過去にも色々な色事情が行き来してたように感じられる。 悠史は恋愛について肯定派で、大いに謳歌して欲しいと…
悠史は今後の独立について、ざっくりとメンバーに説明していかなければ行けないと、感じている。やはり早ければ早い方が良い。 「今夜仕事完了後、皆んなの予定が知りたい。」 「スケジュールは、どんな具合か聞かせ欲しい。」 悠史は、4人のメンバーの反応…
事務所で昼食を終え、午後の業務に戻った3人は、午前中に仕入れて来た拓也のシステムに関心があるようだ、拓也はノートに書きとめてある不思議なアルファベットと記号の羅列を確認しながら、自分達用のシステムにアレンジしていくためにファイル設定を書き…
悠史と劉基の2人が待ち合わせ場所に到着する頃には目的の相手は一足先に到着してた様だ。相手は、自分達の到着に気がついたのか自分達の車の方へ歩み寄って来た。私達は車を降り、改まった挨拶を試みる。比較的深々と頭を下げて、名刺交換をする。相手もそ…
彼は所定の位置へ車を丁寧に駐車させた。片手にコンビニ袋を持って帰社する。建物の裏口らしき所から事務所へ向かう、駐車場からは裏口からの出入りが近いからだ。 事務所に戻るとマドンナ2人が居た。彼の気配に気がついたマドンナ達が、「おつかれー」と声…
悠史のスマホにコールがなる。おもむろに、時計を見ると11時を少し回っている。スマホを手に取って着信相手の確認すると外出中のメンバーの1人、劉基からだ。 「おつかれさんっす!窪さん、あと10分程度でそっちに付きます。」 こちらから声に出す前に…
「我が社の社長さんの刃物のような、指示事項が届いちゃったよ」 水菜は近寄って来た美咲を見つめて、口元を歪ませてる。解消しきれない不安に、美咲の反応で心の平穏を満たす期待感が伝わる。そして一台のディスプレイを指差して感想を待つ。それを覗き込ん…
ここで改めて説明させて貰う。 活力無き男、窪塚 悠史である この物語の中心的存在、主人公となる。 そして、我が社の社長 渥美 敬三、 窪塚にとっては厄介な話しネタの代表的な人間で、そしてまた彼にとっても窪塚は面白く無い人材の代表になる。 この2人…