《ブログ小説》愛と絆のfive star story 3(2人のマドンナ)
ここで改めて説明させて貰う。
活力無き男、窪塚 悠史である
この物語の中心的存在、主人公となる。
そして、我が社の社長
渥美 敬三、
窪塚にとっては厄介な話しネタの代表的な人間で、そしてまた彼にとっても窪塚は面白く無い人材の代表になる。
この2人は、人種としては全く性質の合わない価値観を持ち、これまでも幾度となくガチンコバトルを生んで来た間柄なのだ。
心配そうに、窪塚を見つめる、愛嬌のある微笑彼女は、
佐々木 水菜
「さて、どうしようかね!?」
窪塚が、軽めに声を掛けてみた。
水菜の視線は未だに窪塚にくぎ付けである。
彼女は窪塚の今の、声に出さない胸の内を覗き見したくて繊細に浮き上がる表情を見逃したく無いのだろう。
「この予算設定って、どう考えても無茶苦茶なUP率なんじゃない!?」
「挙げ句の果てに人員削減、ふざけ過ぎじゃ・・・」
確かに彼女の感想は当然すぎるくらい当然である。悠史も同感に感じている。
ただ、無茶振りは慣れっこである。
俗に言う、ブラック企業。
別に今に始まった訳でもない。
企業としての在り方や規定にしても、色々上げていくとキリがない。
悠史は、この時既に気持ちの上では決着が着いていた。この会社に未練は全く無くなっていた。彼は数年前から常に二択の選択肢の中で、幾度も格闘していたのである。
実の所、もう既に対策は進めていたのだ!
ただ思っていた以上に、突発的な展開が起こって来るのは想定外だった、時期的にもまだ早い。
準備が温まるまでには、もう少し余裕が欲しいと感じている。
あまりにも沈黙が長いと、首を長くして待っている彼女に申し訳ないと感じたのか、また少し口を開いた。
「どうする?どっちか退社しないといけなくなりそうだな!?」
少しだけ意地悪い笑みを見せて水菜を見つめてみた。水菜も負けじと悠史の肩に、握り締めた拳を叩き込んで、怒ったふりをする。
水菜もそうだが、ここでの5人のメンバーは、一般企業ではあまり感じられないくらいな、信頼関係が出来上がっているので、こんなやり取りは日常的に起こっている。
水菜は悠史の言葉に若干、安心したようにも見える。
そして、水菜は流し台の方に目を向けて悠史を責めるように
「ねぇ、聞いてよ!」
「私か、咲ちゃんのどっちかが退社するしかないって、このオンジイが、いじめるんですけど!」
流し台で何かしている、もう一人の女性
北川 美咲である。
彼女は水菜とは、また違うタイプで水菜が可愛い系であるなら、美咲は綺麗系である。
この美咲を営業部に招き入れたのも悠史である。これは、彼が業務をこなしていくために、出来るだけ男心を充実させたいと願った思惑が働いた結果が、全く別のタイプの女性を招き入れたのかは定かではないが、彼女もまた魅力ある女性なのだ。
では、悠史と水菜が社長からの一報でどんよりしていた間に、彼女は流し台で何をしてたのでしょう?
彼女は、悠長にドリップコーヒーを入れていたのです。そして水菜に呼び戻されるかのように、コーヒー片手に歩み寄って来た。
「何を面白そうな話ししてる、ん、で、すか?」
「さてと、私も混ぜてもらおうかな。」
まだ、そのコーヒーが熱いのか恐る恐る色気ある口元がコーヒーカップに触れて、舐める程度の一口を口にする。
多分この2人の女性にかかれば、殆どの男性は天国に昇天してしまうだろうって思えるくらいのオーラが相乗効果で男を魅了するだろう。
そして活力無き男、悠史は、そのオーラの中、2人の間に挟まれ何時も、折れそうになる理性に気合いを入れて、幸せな時間を噛み締めていたのである。