ブラックで踊る今日とfive star story 10 (忍び寄る見えない恋心2)
悠史は、先程のタバコの人物について考える事にした。
若干普通では無い空気を感じているからである。
自分達の職場では男性の取引先が多いので、過去にも色々な色事情が行き来してたように感じられる。
悠史は恋愛について肯定派で、大いに謳歌して欲しいとも思っているタイプなのだ。
そして今回のタバコの人物も過去の色事情と同じように、好意的な感覚が有ると直感的に感じてしまっている。
本来、男女問わず好意を寄せたり、寄せられると行った感情はとても良い事で有ると思っている。
残念な事なのは、最近の男性は不器用なタイプが多くなってる様にも感じる。
上手くコミニュケーションが取れない行動が、相手に不快感を与えたり、恐怖心を生んだりとするので、厄介なのだと悠史は感じているのだ。
そして今回のケースの場合は残念な方向に向いているのではないかと、懸念している。
特別、悠史は2人のマドンナに対してプライベートまで干渉する気は持っていないのだが、今回のケースは少々、踏み込んで行かないとまずい展開に発展しそうだと、アンテナを立てながら注意を払おう、そう決めたのだ。
「北川、佐々木、最近の得意先で何か面白い話があったら聞かせてくれ。」
美咲が顔を上げて、悠史を見た。
悠史がどんなネタを望んでいるのか、確認したそうである。
「と、言うと!?」
水菜は、タイミングが悪いのかディスプレイを見詰めながらキーボードをカタカタ鳴らしてる。
そうしながらも、意識は2人の会話に向いているようでもある。
「最近な、俺って素敵な出会いって無い訳よ。たまにはさ、こぅなんて言うかさぁ、楽しそうな刺激を感じたい訳でな、俺を楽しませてくれそうな何かをさぁ、って訳よ。」
美咲が、嬉しそうにニヤニヤしながら反応してくれる。
「質問の意味が分かりません!」
「もしかして、エロジィ全開なんですか?」
美咲は目元を細めてジーッと、悠史を見ながら
「変態ですか?何を想像したいんでしょうか?」
悠史は、あまり動揺していないようだ、それどころか若干いやらしい顔をして
「隅々まで聞かせ願おう!」
ここで、水菜の打ち込みに区切りが付いたのか、今度は水菜が割って入ってきた。
「咲ちゃんね、ここ数ヶ月ある取引先の人から、何かと声かけられていて、何とかデートに誘いたそうなオーラ持った人に言い寄られているよね!?」
若干、美咲は慌てている。
「あっ、バカ!」
「・・まっいいか、別にあまり興味ない相手だし適当にかわしてます。それよっか、エロジィの想像の方が怖いわ、絶対に犯罪っぽい内容に仕上げるはず」
美咲は、楽しそうに悠史をイジり倒してくる。
そして、美咲が水菜に話をし始めた。
「ミズ、あんたは気付いてないかもだけど、実は気をつけた方がいい相手がいるよ!」
その言葉に水菜は驚いた。
何のことかサッパリ検討がつかないらしい。
「えっ?」
「それって、何?」
「気をつけるって、誰に、何を?」
悠史は、狙い通り何かヒントを得られそうだと感じた。
もしかしたらタバコの男の手掛かりになりそうな話になると・・
恋の矛先は、水菜に向かって来るのかもしれない。
美咲から、もう少し深く聞き出そう
ムードメーカーである、2人のマドンナの生き生きした笑顔を壊さないように。