信剣士の細やかな時間のホット一息

チャレンジャーとしての世界で生きたいと思います。会社にエネルギーを注いで来ましたが自分の存在が如何に薄いのか思い知らされ、これからは自分の希望のためにエネルギーを使って見ます。私は何処まで歩いて行けるのか知りたいです。ぶらっと、いろんなテーマに触れて行こう。

《ブログ小説》愛と絆のfive star story 36(蘇る美咲の苦い思い出)

 

 

「重てーんだよ!もう、ウゼーから消えろよ!!」

 

はっ!として、我に帰った美咲が居た。美咲は拓也の運転する様子を眺めていたら苦い過去に呼び戻されていた様だ。胸が締め付けられる。耳鳴りの様にこのフレーズがフィードバックする。刃物が胸を串刺してるようだ。脈拍が上がる喉が渇く、美咲が拓也に視線を向けたまま硬直してしまった為、拓也も気が付いてしまった。

 

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「・・どした?」

「えっ?あっ、いや何でもない。」

 

(よりによって、このタイミングで思い出すなんて・・)

(・・?、どうしたんだ?)

(確かに、美咲の空気が曇ってる・・)

 

拓也は美咲の異変にアンテナが立ってしまった。あまり見せることのない空気感に少し気掛かりな心境になる。拓也にとってはまだ、マドンナ達に煽られてる方がよっぽど心地良いと思うのだ。

 

「美咲、お前は何食べるか決めたの?」

 

チラッと、美咲の顔を見た。柔らかな何時もの表情である。そして嬉しそうに喋り出した。

 

「えっと、どうしようかなってお悩み中でーす。」

「やっぱりトマトベースが理想だよね?」

「俺に聞くなよ、第一俺がお前の何食べたい心境なのか分かんねーし。」

「ハハハッ、そうだよね。じゃあオイル系はどう?」

「あのね・・」

「咲ちゃん、私トマトベースでナス食べたいなー」

「あっ、それも美味しそうだね!どうしようかな」

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拓也達を乗せた車が目的地のイタメシ屋にたどり着き拓也は車を駐車スペースへ車を止めた。3人はそれぞれ各々車を降り店の入り口に歩き始める。入り口に入って来た拓也達に見せの店員が笑顔で振舞ってきた。

 

「いらっいませ。お客様何名でしょうか?」

「3人です。」

「5分〜10分程度お待ち頂く事になりそうですが宜しいでしょうか?」

 

3人はお互いに顔を見合わせて無言では有ったのですが、「待とう」と言う結論でお互い納得している様であった。拓也は回答を待つ店員さんに応えた。

 

「お願いします。」

 

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マドンナ達は2人は、よくお店の入り口に設置してある待合椅子の上に腰を下ろしていた。拓也も2人の座る場所に近付き、店員さんに案内されるまで待つ事にする。マドンナ達2人は一つのメニューをシェアするかの様に眺めながら何を食べようかと選んでる様子である。そんな時、入り口からカップルらしき2人が入店してきたのである。その気配に一番先に拓也が気が付いた、2人共お洒落に身を包んだ出で立ちで店員に話しかけられている。

 

「マジかよ!こっちは、この程度の店なら簡単に昼を済ませられると思ってたのに・・どうする?」

 

高身長の男性は待ち時間を言われた事に少しイラついてるのか少し機嫌が悪いようだ。相方に確認している様であるが、女性側に宥められている。

 

「仕方ないじゃん。待とうよ。」

 

渋々その男性は店員に向かって順番待ちを認める胸を伝えて、辺りを見回した。丁度マドンナ達の座る対面に位置する椅子に腰を下ろした。マドンナ達は後から入店して来たカップルには殆ど認識して無い状態だった。彼女達はこれから食べよとするパスタの話題で盛り上がってるのだ。女性陣のこう言ったトークって永遠に続くのでは無いかと拓也は感じてる。

 

 

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例のカップルらしき男性は不満が晴れないのか不穏な空気を未だに撒き散らしている。女性側の方が彼の不満を一生懸命に受け流している。拓也の視線はそちらに向ける事は無かったのですが、あまりに彼の横暴さに関心を避ける事は出来ずに意識だけは彼の方へ集中している状況であった。そんな時その彼がマドンナ達に視線が向けられて、1人の存在に気が付いた様である。彼はその子を再確認する様に視線を凝らして見つめている。

それに気が付いた彼女らしき女性が彼に疑問を投げつけた。彼女にとっては彼の意識がお店の不満から別の所に意識が向かった事に注意が働いたのだろう。

 

「どぅしたの?」

「いや、ちょっと・・もしかして懐かしい相手かも・・。」

「ふーん。」

 

その彼女らしき女性もその男の視線の先に視線を向けた。その視線の重なった場所には美咲が座っていて楽しそうに水菜と会話に夢中である。その男は美咲のことを懐かしい相手と確証が持てたのか、一瞬顔つきを曇らせたのだが薄っすらと嫌な笑みを浮かべてる。

彼は両腕を組み足元を大胆に開いた感じで、美咲に声を掛けて来た。

 

「よう!美咲じゃねーか、元気してるよーだな?」

 

思わず自分の名前を呼ばれた事にビックリしてしまった美咲が、声の主の正体に気が付き、さらに硬直してしまった。そしてその男の美咲とよ 呼んだ名前に、拓也と水菜も気が付かずには居られない程であった。2人の間には不思議な空気が流れている。部外者3人は2人のやり取りにどんな展開が生じるのか、注目が2人に集中している状態である。

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(えっ!?何で・・?、あの人がここに居るの!?)

 

「なんだよ、お前って相変わらず辛気くせーな。」

「・・・・」

「・・こんにちは・・。」

 

(車の中で、思わず呼び戻された記憶・・この展開を予感してたのかな・・)

 

美咲は、その男に軽く言葉を返して視線をそらした。拓也と水菜は彼女の微妙な空気感を感じ取っては居るのだが、今の段階では反応に躊躇するだけだった。

そこへ店員さんが、拓也達を呼びに来た。

 

「お待ちのお客様、準備が出来ましたのでご案内させて頂きます。」

 

その場を1秒でも早く離れたい美咲が、すぐさま立ち上がり店員の方へ歩み寄る。水菜が心配そうに追いかけて行った。拓也はこの感じの悪い男性は美咲にとっての何なのだろうかと、気になっていたのだが、店員に案内されてる2人の方へ向かい始めた。

 

 

 

(この物語がより読み進め易い様にカテゴリ別に分けさせて貰いました。お好きな場所からお読みいただければ嬉しく思います。)

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